障害について知る 2021年5月20日

図鑑で学ぼう!その2―広報・普及啓発で目の不自由な人への配慮とは?

ウェブアクセシビリティってどんなものかご存じですか?
広報や普及啓発を考えるとき、知っておきたい配慮があります。
今回は、4月18日のブログに掲載の『目の不自由な人をよく知る本』から、ウェブアクセシビリティや音声読み上げに注目し、弊社の取り組みとともにご紹介します。

 

※『目の不自由な人をよく知る本』は、図鑑で学ぼう!その1―障害学習ビジュアルブック『目の不自由な人をよく知る本』のページで詳しく紹介しています。

図鑑表紙画像

(表紙画像提供:合同出版)

1 音声読み上げ機能の便利さと課題

『目の不自由な人を知る本』を開いてみると、視覚障害のある人もパソコンやスマホを活用し、暮らしに役立てていることがわかります。

目が見えない人たちはどのようにして画面の文字情報を得ているのでしょうか。

画像:本文42-43頁

(目の不自由な人をよく知る本のITに関するページ/本文42-43ページ画像提供:合同出版)

パソコンやスマホには、画面に表示された文字を音声にする〝読み上げ機能〟があります。これを活用することで、目が見えなくてもメールを送ったり、ウェブサイトから情報を得ることができます。

弱視の人の場合、画面の拡大表示や白黒反転が有効な場合も。またスマホもカメラを拡大鏡のように使ったり、色々な読み上げアプリがあるので便利です。

音声読み上げ等の便利な機能を活用することで、視覚障害者もITを使いこなし、その世界を広げています。

 

画像:本文48-49頁

(目の不自由な人をよく知る本のリビングで使う物のページ/本文48-49ページ画像提供:合同出版)

 

一方、問題もあります。音声読み上げ機能は画像を読み込めません。代替テキスト等の配慮のない画像や写真だけでは、そこから情報を得ることができないのです。問合わせ等の入力フォームが読み上げられず、目的が果たせないこともあります。

また視覚障害者はカーソルの小ささからマウスを使わず、キーボードのみで操作をするケースが多くあります。この場合、ログイン時の画像認証や構造が複雑なウェブサイトの閲覧が困難なことも。

あらゆる情報がウェブを使って発信される昨今、便利さの一方で多くの視覚障害者がウェブ上のバリアによる不便さを経験しています。

2 ウェブアクセシビリティとは?

ウェブページの情報や機能の利用しやすさを「ウェブアクセシビリティ」といいます。

あなたが運営するウェブサイトは、小さい文字だらけになっていたり、PDF画像を掲載して終わりになっていませんか?

発信側がウェブアクセシビリティに配慮していないと、そのサイトは〝使いにくいサイト〟になってしまう可能性があります。一部の利用者がウェブ上のバリアのために情報を得られないことは社会生活上の大きな不利益であり、災害時には生命の危機にも及ぶ問題です。

ウェブアクセシビリティは障害者や高齢者に限った話ではありません。例えば一時的な病気やケガで眼や腕が使えない場合や、屋外で画面が見にくいときなど、ウェブアクセシビリティの確保されたページは誰にとっても使い勝手のよいものです。ユーザビリティの向上や利用者の満足度向上、業務効率化にもつながるでしょう。

ウェブアクセシビリティは、誰もが気持ちよく平等に情報を得られるようにするため、みんなにとって必要な品質なのです。

3 JIS X 8341-3:2016とブライトの取り組み

ウェブアクセシビリティの品質基準として設定された規格が日本工業規格の『JIS X 8341-3:2016』です。

ここにはウェブアクセシビリティ確保のための61項目の達成基準が示され、A、AA、AAAの3つの達成レベルが設定されています。例えばレベルAは、画像や動画等に代替テキストを提供する、全コンテンツをキーボードのみで操作可能にすること等が挙げられています。最高レベルのAAAでは、テキストを機能やデザインを損なわずに200%まで拡大可能にする、文字画像ではなくテキストで情報提供すること等が指定されています。

画面:ブライトアクセシビリティ方針

株式会社ブライトのホームページは、この『JIS X 8341-3:2016』の規格のレベルAに準拠することを目標とし、2018年3月の検査によってこれを達成したことが証明されています。

4 ブライトの制作事例と音訳

ウェブアクセシビリティで配慮すべき点のひとつとして、音声読み上げソフトのユーザーへの配慮が挙げられます。株式会社ブライトでも、音声読み上げを意識して様々な制作に取り組んでいます。

弊社の制作事例をご紹介しましょう。

福祉業界向け情報誌「ソウェルクラブ」は紙でもウェブでも読むことができ、視覚に障害がある方も楽しめるよう、音声読み上げ対応のテキストデータを配信しています。

情報誌の表紙と電子ブックの画面

(情報誌ソウェルクラブの表紙とパソコンで閲覧できる電子ブック)

 

音声読み上げ用のテキストはただ原文をコピー&ペーストするだけでは不十分。視覚に頼らず、音声だけで適切に内容が理解できるよう「音訳」する必要があります。

例えばこの情報誌には次の画像のような4コマ漫画が掲載されています。

画像:4コマ漫画

▼漫画のセリフ


1コマ目 :「あー 今日も仕事かー…」

2コマ目 :「うーん (シワが)目立ってきたかァ? え、ちょ…これってシミ?」

3コマ目 :「でも今は目元だけしっかりお手入れしておけば…!!」

4コマ目 :「よし!」「これで若返ったわ!!」


 

視覚障害の方には、セリフだけの音声では、不十分です。

そこで、セリフだけではわかりにくい⼈物の動作や情景などを補足して音訳することが大切です。

▼漫画の音訳


1コマ目 :女性が朝起きて窓辺で外を見ながら寝ぼけ眼で「あー 今日も仕事かー…」

2コマ目 :部屋で鏡をみながら「うーん (シワが)目立ってきたかァ? え、ちょ…これってシミ?」

3コマ目 :鏡をまえにパフで顔にファンデーションを塗る「でも今は目元だけしっかりお手入れしておけば…!!」

4コマ目 :目元ばっちり化粧(鼻から下はマスクでみえないので)「よし!」「これで若返ったわ!!」


漫画の内容が見なくてもわかるよう、イラストで表現された部分の情報を言語化することで、視覚障害の方にも漫画の内容が伝わるのです。

また、この情報誌は原稿の作成段階から音声化を意識し、指示語を使わない、項目には数字を振る等、視覚に頼った表現をしないよう配慮をしています。

音声読み上げ用テキストデータを提供することで、視覚障害者や高齢者の方も情報誌の内容を理解し楽しむことが可能になります。テキストデータは汎用性が高く、点字や大活字に加工もできる良さがあります。

出版のバリアフリー

『目の不自由な人をよく知る本』も、目の不自由な方や支援者の方のため、本を購入された方に音声読み上げ対応のテキストデータを無償提供しています。本の最終ページのQRコードから、または合同出版株式会社(電話:042-401-2930)で申し込みができますよ。

 

投稿者:守﨑麻衣 投稿者:守﨑麻衣
フリーライター。文化芸術業界で映画・音楽・伝統芸能等の事業や施設運営、広報に携わり、ユニバーサルデザインにも高く関心を寄せる。学生時代は箱根駅伝等の取材に奔走。学芸員、教員免許、色彩検定2級、16ミリ映写機操作技術認定取得。

 

ここがUD

ウェブアクセシビリティは、ウェブのユニバーサルデザイン。
ITの時代、様々な立場のユーザーを意識した思いやりあるコンテンツ作りが求められているのですね。
誰もが気持ちよく使えるやさしいウェブサイトを目指して、アクセシビリティのための具体的な取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。