障害について知る 2021年4月18日

図鑑で学ぼう!障害学習ビジュアルブック『目の不自由な人をよく知る本』

目の不自由な人や障害のことを知りたい! 共生社会について考えたい!
そんな思いに応える本が出版されました。
障害を理解し、共に支え合う社会を考えるには? 今回は『目の不自由な人をよく知る本』をご紹介します。

 

図鑑の表紙画像

(表紙画像提供:合同出版)

1 学べる!障害のための学習図鑑

『目の不自由な人をよく知る本』は、目の見えない・見えにくい方たちのありのままの姿を正しく理解することを目標として作られました。

日本点字図書館理事長である田中徹二さん、宮城教育大学名誉教授で元筑波大学付属盲学校教員の猪平眞理さんが監修し、ブライトが2007年より賛助会員として活動する共用品推進機構、また当社のアドバイザーである芳賀優子さんが編集協力に携わっています。

A4版、オールカラーの104ページ。図鑑のようにしっかりした厚みのあるハードカバーの本です。この本の出発点は視覚障害のある人たちへのアンケート調査。当事者の生の声や専門家の解説を盛り込み、見えない・見えにくい世界や日常生活、共に生きる社会について丁寧に示しています。

イラストや写真がたくさん使われ、難しい漢字や用語は控えめ。ふりがなもついているから小学生のお子さん(※)でも読むことができますよ。※対象:小学校中学年以上

2 見えにくいって、どんな世界?

目の不自由な人は世界をどのように見ているか、想像したことはありますか?

瞼を閉じた時のように真っ暗な世界でしょうか。

本書によると、視覚障害と一口に言っても光や色は見える場合も多く、“見えない”状態はさまざま。ぼやけて見える、常にまぶしい、夜になると見えないなど、人それぞれ状態は異なるそうです。

本文画像58ぺーじ

(本文58ページ画像提供:合同出版)

読み進めると「知らなかった!」「すごい!」という発見と感動が。

未知なる文化を学ぶ時のように好奇心を刺激され、視覚障害があっても想像以上に色々なことができることを知って驚きます。

内容の一部を少しご紹介しましょう。

料理が大好きな〝あゆみさん〟は、包丁や火を使って毎日食事を作ります。音や感覚、道具をうまく使うことで揚げ物やスイーツも作ることができるそう。〝のりこさん〟は、点字の美容雑誌や講習会で得た技術で綺麗にメイクをします。鏡を見ないメイク法を用い、自分に似合う色も知っていて、自信を持って外出します。

ダイビング、スキー等のスポーツや、競技場での観戦を楽しんでいる人も。

本文16-17ページ画像(本文16-17ページ画像提供:合同出版)

子ども達の学校生活や進路のこと、リハビリや盲導犬についても丁寧に紹介されています。

描かれているのは自分らしく人生を生きようとする、人々の前向きな姿。視覚障害をもつ本人や周囲でサポートする人たちの、困難を乗り越えるための知恵や工夫の数々です。そこから、読み手は多くの学びや発見を得られることでしょう。

3 できることがたくさん!だけど…?

読んで1番に感じたことは「目が不自由でも、できることが想像以上にたくさんある!」ということ。

点字や音声つきの製品やAIの普及、街中の整備など、視覚障害に配慮された機能やサービスは発展し、見えない・見えにくい人たちの生活を助けています。本書では視覚に頼らずとも便利に使える道具や施設、設備がたくさん紹介されています。

また欠かせないのが周囲の人たちの関わり。本人の力や道具では補えない部分を、友人やお店のスタッフなど身近な人が理解し、手助けすることで見えない・見えにくい生活を〝大丈夫〟にしていることがわかります。

不自由が解消されればその人らしく活動できることが、本を通して感じられます。

本文54-55ページ画像(本文54-55ページ画像提供:合同出版)

一方で『ちょっと残念なこと』も記されていました。

例えば急に具合が悪くなった時、病院への同行をすぐには頼めません。大きな病院は1人で行くのが大変だったり、建物の中で迷ってしまう可能性も。診察や会計が電光表示板の番号表示であることにも困ってしまいます。

また、理解ある指導者に出会うまで、いくつものヨガ教室で視覚障害を理由に見学を断られ、悔しい思いをしたという方も。

正しい認識や十分なサポートを得られないとき、見えにくさはまさに障害となってしまうこと。

そんな『ちょっと残念なこと』はなぜ起こってしまうのでしょう。

気付けば思考は広がって、読み手はきっと自分たちの生活するこの世界に思いをはせるでしょう。

4 障害を知り、社会のことを考える

快適で不便のない生活は、誰もが望んでいること。

見えにくい人の生活の中には、ハードの面でもソフトの面でもたくさんの工夫やアイデアが散りばめられています。

使ったものは所定の位置に戻すという整頓ルールや、洋服の色別収納、便利なグッズの活用、正しく自分を知ってもらうこと…。使いやすい道具や安心できる環境は視覚障害のある人に限らずみんなにとって心地よいことも多いです。

「使いやすいなぁ!」「安心だなぁ!」

そんな喜びを共有できたら、みんながハッピーなのでは?本を眺めているうちに、自然とそのように思いをめぐらせていました。視覚障害のある人の生活を知ることは、社会の今とこれからを考えることでもあるのですね。

本文88-89ページ画像(本文88-89ページ画像提供:合同出版)

本書の最終章では、ともに生きていくための社会について触れられています。

分断することなくフラットな気持ちで、皆にとっての不便や快適、不安や安心に関する問題や改善を考えられたら。

本書から得られる発見の喜びや関心の高まりは、ポジティブに障害や社会と関わる気持ちを育ててくれるでしょう。難しい説明はあとにして、まずはページをめくってみることをおすすめします!

 

出版のバリアフリー

この図鑑を購入された方で、目の不自由な方や支援者の方向けに、読み上げ対応用のテキストデータを無償提供しています。ご希望の方は、合同出版株式会社(電話:042-401-2930)までご連絡ください。

 

投稿者:守﨑麻衣 投稿者:守﨑麻衣
フリーライター。文化芸術業界で映画・音楽・伝統芸能等の事業や施設運営、広報に携わり、ユニバーサルデザインにも高く関心を寄せる。学生時代は箱根駅伝等の取材に奔走。学芸員、教員免許、色彩検定2級、16ミリ映写機操作技術認定取得。

 

ここがUD

「これってまさに、ユニバーサルデザイン!」
『目の不自由な人をよく知る本』にはそんなポイントがたくさん。
視覚障害のある人について知ると〝わかりやすさ〟の重要性を再認識せずにいられません。
まずは知ることから。みんなが自分らしさを発揮できる社会のことを一緒に考えてみましょう。