高齢者への配慮 2021年7月13日

知っておきたい認知症への備えー7月1日から新制度始まる

契約者の死亡や認知症による判断能力の低下により、「生命保険契約の有無がわからなくなってしまった」「生命保険会社が分からず請求ができない」そういった方のお悩みに寄り添う「生命保険契約照会制度」が、2021年7月からスタートしました。


1 知ろう。認知症の備えの必要性

イラスト:困っている青年

 

まず、認知症の備えがなぜ必要なのかを考えていきましょう。

 

2012年 2040年 2060年
認知症の推定患者 462万人 953万人 1,154万人
65歳以上の認知症の人の割合 15.0%

7人に1人が認知症

25.4%

4人に1人が認知症

34.3%

3人に1人が認知症

(○人に1人が認知症/家族と備える認知症(発行:生命保険協会)本文5ページ・図5より)

 

高齢化が進むとともに、認知症の人も増加しています。2040年には65歳以上の4人に1人が認知症になるという推計もあり、今後増え続けていくことが予想されます。

特に、75歳以降になると、有病率がグンと上昇していることをご存知でしょうか?

 

人生100年時代、健康に長生きするのが一番です。

しかし、さまざまな要因から脳細胞の働きが悪くなり、認知症になる可能性がないとは言い切れません。そうすると、認知判断能力が低下してしまい、家族の援助が必要になることも。

イメージ写真:保険という文字と家の形をした積み木

 

認知症になり、家族が困ることの一つとして「保険契約の管理・手続きが困難」が挙げられます。

契約者が認知症になり判断能力が低下した場合、家族が代理で手続きを行うことになりますが、契約者本人でなければ対応できないケースもあり、不便が生じるのです。

 

そのため、契約者本人が元気なうちに、「生命保険の加入状況や、契約内容を家族に話す」「保険証券などの、保管場所を家族と共有する」「認知症になったあとの財産管理について家族と相談しておく」といった方法で備えることが大切です。

 

2 認知症で保険契約の存在がわからない場合

それでは、保険契約者が認知症になってしまい、保険契約の存在がわからなくなった場合、どうしたらよいのでしょうか。

認知症になった契約者の家族が生命保険会社に照会しても「契約者本人の同意が必要」といわれるケースがあります。そもそも、どの保険会社利用しているか分からない場合もあるかもしれません。

 

イメージ画像:新制度の看板を掲げた人

 

そのお悩みを解決してくれるのが、2021年7月からスタートした「生命保険契約照会制度」です。

「生命保険契約照会制度」はもともと、東日本大震災(2011年3月)の発生以降に、災害地域におけるセーフティネットとして設けられた制度でした。そのため、災害時にしか制度を利用することができなかったのです。

 

イラスト:新制度紹介の図

 

しかし、高齢化の進展や認知症患者の増加による社会問題解決のため、2021年7月からは平時にも活用できるようになりました。災害時に加え、契約者の死亡、または認知判断能力が低下しているケースが対象となります。

 

生命保険契約照会制度を利用すると、生命保険協会が窓口となり、全国の生命保険会社に一括照会を行ってくれます。1照会につき、3,000円で保険契約の有無を確認することが可能になりました。※その他、公的書類や診断書等が必要になる場合があります。

 

ただし、その後の「契約内容の照会」や「保険金請求」については、ご自身で生命保険会社に問い合わせる必要があるため注意しましょう。

 

詳しくは、生命保険協会のホームページをご参照ください

生命保険契約照会制度ホームページ

 

 

3 高齢者・障害者に分かりやすい編集・デザイン

保険契約や各種制度についての説明は難しく「読んでもわからない」と考えている人は多いのではないでしょうか。

 

写真:笑顔でパンフレットを読んでいる老夫婦

 

ブライトでは「高齢者の方が一人で読んでも理解しやすい紙面であること」「視覚障害のある方が音声で聞いた際に理解しやすい内容であること」をテーマに、冊子を編集・デザインしました。

 

制作事例をご紹介します。

●事例1:ポスター「生命保険契約照会制度」

「生命保険契約照会制度」のポスターは、必要な情報を抜粋し、高齢者やその家族に分かりやすいデザインにしました。

ポスター:生命保険契約照会制度

 

文字と図版を組み合わせることで、制度の概要をひと目で理解できるようにしています。

 

●事例2:冊子「家族と備える認知症」

冊子「家族と備える認知症」は、高齢者・障害者に分かりやすいガイドラインに沿って制作しました。

高齢者やその家族にも分かりやすいように、英語やカタカナなどは避け、グラフや図表はひと目で分かるように簡易化しています。

家族と備える認知用冊子:表紙、本文

 

文字ばかりにならないように、図版を入れながらバランスの良いページにし、重要な項目が目立つようメリハリをつけました。

「以下」や「上記」といった場所を示す言葉は使わず、具体的な説明をすることで、音声で聞く際もイメージしやすいつくりになっています。また、理解向上のため、図表には分かりやすい解説をつけました。

 

カラーUD認証マーク

(色弱者が見やすいカラーユニバーサルデザイン認証マーク)

 

さらに、色の区別が難しい色弱の方や、白内障の方にも見やすい色を使って制作しています。日本では男性の20人に1人、女性の500人に1人の割合で色覚異常の人がいるため、より多くの人に正しく情報が伝わるよう配慮しました。

詳しくは、制作実績ページをご覧ください。
【金融】2040年4人に1人が認知症、家族と備える認知症の冊子

 

高齢者や障害者向けの分かりやすいデザインをご検討の方は、お気軽にご相談ください。

お問い合わせフォーム

メール:info●bright3.jp(●記号を@に置き換えてください)

電話:03-5259-8833 / FAX:03-5259-8831

 

 

 

画像:投稿者白石さんの顔写真 投稿者:白石果林
法政大学 現代福祉学部卒業。学校法人・一般企業にて8年間勤務したのち、フリーランスライターとして独立。福祉、資産運用、不動産、健康、エンタメなど、幅広い分野で取材・執筆を行う。
ここがUD

人生100年時代、保険契約者の死亡や認知症の備えとして、加入状況や契約内容を家族と共有しておくことが大切です。しかし、備えといっても「何を、どう備えたらいいの?」と思う方も多いはず。
このポスターや冊子は、認知症の現状、備えの必要性や方法を分かりやすく教えてくれます。簡易的なグラフを用いたり、英語・カタカナを控えたりしているので、高齢者や視覚障害のある方でも分かりやすいのが嬉しいポイントです。
冊子の最終ページには「備えのチェックリスト」も用意しているので参考にしてみてくださいね。