障害について知る 2020年4月5日

日本の”障がい者雇用モデル”として注目:ユニバーサル農園「京丸園」

2020年2月14日、アクセシブルデザイン推進協議会(ADC)主催の「ADシンポジウム2020」が開催され、ブライト代表の小川とユニバーサルデザインコーディネーター向後が参加しました。

「ADシンポジウム」とは?

ADとは「アクセシブルデザイン」の略称で、平たくいうと「誰もが使いやすいデザイン」のことです。ADシンポジウムでは、高齢者・障害者の方々でも使いやすい製品・サービスの向上等について、話し合われます。

今年は、①東京2020パラリンピックを成功させよう、②障がい者雇用を考える、③AD最新報告、計3つのテーマで講演されました。

ユニバーサル農園、きっかけは「下敷き」

特に興味深かった講演は、②障がい者雇用を考える、について講演された京丸園の取り組み(講演者:鈴木緑さま)です。京丸園は、静岡県浜松市で「姫ねぎ」等を栽培する農園で、知的・身体・精神障がい者の方々を雇用しています。

写真です。女性が壇上に立ちながら講演しており、近くに手話をしている女性1人がいます。

「障がい者雇用を考える」について講演された京丸園・鈴木緑さま

 

京丸園は今から25年前、1つのきっかけで障がい者の雇用を始めました。

ある日、旧養護学校の先生が京丸園へ障がい者雇用の相談に来ました。京丸園の鈴木厚志社長は当時、障がい者との接点が無かったため、職人技で苗の移しかえを先生に見せながら、障がい者雇用の難しさを説明しました。

これは写真です。京丸園の鈴木厚志社長が苗を持って笑顔でこちらを向いています。

『笑顔創造』の鈴木厚志社長

そのとき先生は帰りましたが、後日再び鈴木厚志社長へ訪れ、なんと「下敷き」を駆使して苗の移しかえを披露しました。その下敷きは、京丸園が障がい者を雇用するきっかけとなりました。

 

人を思いやり、人に合わせて作業をデザインする

鈴木社長は、動作がゆっくりの障がい者へ「虫トレーラー」を任せました。なぜなら、「虫トレーラー」は苗の上をゆっくりと動かせば動かすほど、害虫を捕れる農機具だからです。

害虫を捕れば捕るほど、社員に負担がかかる農薬散布が減り、消費者に安心・安全な農産物を栽培できます。こうした障がい者の方々の活躍によって、京丸園、消費者の笑顔を創り上げていきました。

これは写真です。京丸園さまの従業員の方々5人が、花束を持ってこちらに笑顔で向いています。

京丸園恒例の誕生日の日♪♪

相手に関心を持ち、相手を理解することによって、相手に合わせて作業をデザインする。ユニバーサル農園を目指す京丸園の取り組みは、障がい者雇用を検討する方々に対して、大変すばらしいモデルだと感じました。

 

誰もが参加する社会を目指して

シンポジウム開催後に行われた懇親会では、京丸園の鈴木緑さんと弊社代表の小川とともに、とても有意義で楽しい情報交換で盛り上がりました。鈴木さんは、過去の楽しい経験・大変な経験でも、明るく笑顔でお話しなさる本当に素敵な方で、私たちはさらにファンになりました。

素敵な方々が素敵な会社を創り出し、誰もが参加する社会になっていく。そんな世の中になるように、ブライトも京丸園を見習い、また応援していきたいと思います。

これは写真です。姫ネギなどを使って顔の形に創り上げた料理が並んでいます。

 

顔写真:ブライト向後の笑顔写真 このユニバーサルデザインレポートを担当しました!

ブライト企画営業部
ユニバーサルデザインコーディネーター

向後 啓介

ここがUD

■ADシンポジウムでは、高齢者・障害者の方々でも使いやすい製品・サービスの向上等について、話し合われます
■京丸園さまは「人に合わせて作業をデザインする」ことでユニバーサル農園へと進化。そして日本の''障がい者雇用モデル''として注目を集めています