従業員のCSマインドを醸成するためのユニバーサルデザイン講習レポート
10月末、北海道にある日南産業さまよりご相談をいただき、 ユニバーサルデザイン(以下UD)講習を開きました。
※レポート協力:公益財団法人共用品推進機構、日南産業株式会社
日南産業さまは北海道ガスのグループ会社であり、主な事業内容は戸建て用の水道工事。 以前ブライトが北海道ガスさまのUD研修を行った経緯から 当時の担当者の方よりご依頼を受け今回の講習につながりました。
今回はブライトのみの講習だけではなく、共用品推進機構※さまへお伺いしお話いただく機会を設けました。
※共用品推進機構:誰もが使いやすい製品やサービスを推進し、より多くの人々へ普及させる活動を行っている団体
<日南産業さまの課題> 1.エンドユーザーに目を向け、従業員のCS(カスタマーサービス)マインドを醸成したい。 2.ホームページを魅力的にし、人材の採用に資するようにしたい。 |
当日は事務局長の星川さまより講義を開いていただきました。ブライトメンバーにとっても貴重な機会!
▼共用品とは?
まず初めに、共用品の概念について教えていただきました。
共用品・共用サービスとは、身体的な特性や障害にかかわりなく、より多くの人々が共に利用しやすい製品・施設・サービスのこと。
”福祉用具”は何らかの障害のある方のみが用いる道具となりますが、“共用品”とは下記図のとおり、一般の方、障害を持った方、いずれにとっても使い勝手の良い製品のことを指します。
例えば、温水洗浄便座も共用品のひとつです。
もともとは痔の人向けに作られた医療用でしたが、今や多くの方にとってなくてはならない機能にまでなっています(インバウンドでもとても人気だそうです!)。
このように共用品は様々な分野で広がっています。
▼「良かったこと調査」が変えたこと
現在の形に至るまでの歴史など様々なことを1時間超の講義のなかで教えていただきましたが、特に印象的だった点は共用品さまが定期的に報告をされている「良かったこと調査」についての考え方です。
これまでは例えば施設やイベントなどを調査する際は、当事者に対して不便調査(どういったときに不便を感じるか)を行っていたそうです。 ただ、悪いこと探しは“マイナスをゼロに戻す“作業。両者にとって気持ちがよくない部分もある調査でした。
そのため障害者団体と話し合って「良かったこと調査」に切り替えた結果、話し合いはとても前向きな、”ゼロからプラスに転じる”ものとなりとても温かいものになったそうです。
<良かったこと調査の一例 > ・施設に関する良いこと、良かったこと配慮調査報告書: https://www.kyoyohin.org/ja/research/goodthings/facilities2024.php ・公共トイレに関する良かったこと調査成果報告書: https://www.kyoyohin.org/ja/research/goodthings/restroom.php |
▼お互いを知ること、そして思い込みを止めること
今回の主目的は、日南産業さまの従業員一人ひとりがエンドユーザーに目を向け、CSマインドを醸成させること。
大切なのは「思い込みを止めること」と星川さまは話します。合理的配慮は、今年4月から民間機関も努力義務から「義務」となったが、「合理的要望」も同時に求められるものであり、要望を伝える側もよく考える必要がある。お互いを知り、建設的な対話をすることの大切さを教わることができました。
その後はブライトのオフィスに場所を移し、ユニバーサルデザインやCS(カスタマーサービス)についての振り返りや、 日南産業さまが抱えている一つの課題、人材採用についてのノウハウや実例を共有させていただきました。
日南産業さまでは中核を担うリーダーに、ユニバーサルデザインの考え方やお客さま志向の仕事の組み立てを考える機会をつくりたいと考えておられたそうです。
ご参加いただいた方々からは、「漠然と考えていたことがまとまっていき、目の前が開けたように感じた。」「大切なことは単純なのに、難しく考えていた。」 といった言葉をいただき、 従業員のCSマインドを醸成していく一助となりました。
・「良かったこと調査」は、取り組みをゼロからプラスに転じる
・合理的配慮だけでなく、要望を伝える側の「合理的要望」も考える必要がある