日本で3人目の全盲弁護士、大胡田氏が講演:障害者週間「読書権セミナー」
毎年、12月3日から9日は障害者週間で、内閣府主催の連続セミナーが開催されています。今年は「読書権セミナー」に参加してきました。
高齢者・障害者等の読み書き困難を解消する行政施策
はじめに、大活字文化普及協会理事の田中氏より基調講演がありました。冒頭「障害者・高齢者にとって読み書きすることは、生きること。なぜなら、勉学上、職業上、日常生活上、読み書きは社会参加するために必要不可欠だから」と述べられました。
そして、現在推進している取り組みが3つ紹介されました。
1)読書権保障法(仮称)の制定:今まで、読み書き(代読・代筆)情報支援サービスは自治体が任意で行っていたが、民間企業でも読み書き(代読・代筆)情報支援サービスが必須となるよう、法律の制定が期待されている。
2)障害者の意思疎通に関する条例:千代田区では、障害のある人もない人も分け隔てなく相互に理解し暮らすための条例を制定(平成28年10月20日施行)。言語(手話を含む)、要約筆記等の文字の表示、点字、音訳、平易な表現、代筆及び代読など意思疎通の手段が拡大されている。
3)障がい者等に配慮した金融サービスの提供:各銀行では「視覚障がい者対応ATMの増設」や「複数の行員の立会いによる視覚障がい者への代筆及び代読の規定化並びに円滑な実施」を積極的に推進している。
人権の尊重と読書権保障
次に、日本で3人目の全盲弁護士、大胡田氏から、ご自身の経験を踏まえたお話がありました。弁護士として働く上で2つの工夫をしているそうです。
1)IT機器の活用:点字でメモする機械、振動する時計、iPhoneなどさまざまな便利グッズを紹介。中でも驚いたのは「色を音声で教えてくれる機械」。
写真は、大胡田氏ご自身のワイシャツに機械をあてているところ。「薄い紫色」と音声が流れ、会場が沸きました。
2)アシスタントとの二人三脚:視覚に障がいがあることで困ることは「読むこと」「書くこと」「移動」の3つ。裁判の証拠写真などは、被写体と同じポーズを自分でとってみて、現場検証を行うそうです。
結びに、行政や出版社等への情報保障義務化を強く願っていました。「今まで障がい者への情報提供は、社会貢献や恩恵のひとつにすぎなかった。今後は障がい者の権利として、義務化してほしい」
ブライトでは、これからも情報保障の取り組みを推進していきます。
平成16年6月に障害者基本法が改正され、それまで12月9日を「障害者の日」と定めていた規定から、12月3日から12月9日までを「障害者週間」と定める規定へと改められました。全国の小・中学生からポスターを公募し、普及啓発を強化しています。