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2025.11.21 金

【観戦レポート】デフリンピック東京大会を観戦してきました!

2025年11月15日から11月26日までの12日間、日本の東京都などで開催される「デフリンピック」。
100年という節目のタイミングで日本にやってくるこの大会を、私自身もぜひこの目で見たいと思い、11月19日に競技観戦へ足を運びました。
今回は、現地で感じた空気感や、デフアスリートならではの魅力、運営の工夫についてレポートします。

■ デフリンピックとは

デフリンピック(Deaflympics)は、聴覚障害のあるアスリートのための国際総合スポーツ大会です。1924年に始まり、2025年の東京大会でちょうど100周年を迎える記念すべき大会となります。100年の歴史の中で受け継がれてきたコミュニケーションと技術が、世界中の選手たちによって東京で花開いています。

日本で初開催!第25回夏季デフリンピック競技大会(11月15日~26日)
https://bright3.jp/report/deaflympics20251115_26/

現地で配られていたデフリンピックの案内チラシ
現地で配られていたデフリンピックの案内チラシ

■ 11月19日、駒沢オリンピック公園へ

会場の駒沢オリンピック公園は、平日にも関わらず多くの観客でにぎわっていました。手作りの応援弾幕を手にした小中学生たちによる大きな声援が競技場に響き渡ります。

試合開始前にはデフアスリートを身ぶりで応援する「サインエール」の練習を観客で練習する時間も。得点が決まるたび、良いプレーが披露されるたびに手をひらひらと振る、手話で「拍手」を表す仕草が行われ、会場全体が温かい空気に包まれていました。

東京2025デフリンピック競技観戦ガイドより引用

■デフスポーツ、生観戦! 

観戦を通じて、まず強く感じたのは「音がないからこそ際立つ連携の美しさ」でした。

デフアスリートは、音に頼らず目線、手話、指文字、ジェスチャーを駆使して意思疎通を行います。手話による戦術確認や激の飛ばし合い、全選手が“全員を常に見る”ために生まれるチームワーク、こうしたやり取りには一般の競技とはまた違う独特の緊張感と美しさがありました。

デフハンドボールの試合会場
デフハンドボールの試合会場

ハンドボールは攻守が目まぐるしく入れ替わる試合のスピード感が魅力的。デフアスリートたちは仲間の動きを鋭く目で追い、短いジェスチャーでプレーをつないでいきます。すごい視野の広さ!ちなみに日本の男子デフハンドボール代表はまだ発足後間も無いチーム。はじめてのデフリンピック参戦でしたが、初陣とは思えない堂々とした戦いぶりでした。

バレーボールでも、視覚的なコミュニケーションが随所に見られました。次は誰がボールに触るのか?ついつい声に頼りがちなこの種目において、プレー中に交わされるアイコンタクトやスピーディーなサインで連携をとっているようでした。うーむ並外れた集中力…!

デフリンピック、陸上競技の案内
陸上競技にも様々な工夫が

音の情報を視覚の情報に変えること。陸上競技ではスタート音の代わりに「フラッシュランプ」という光でスタートします。ちなみにフラッシュランプのアイデアは日本で生まれたそうです!なんだか誇らしい気持ちになりますね。

■ 会場で感じた運営の工夫

今回あらためて感じたのは、デフリンピックが「競技を観てもらう場」であることでもあり、誰にとっても情報が届く“インクルーシブな体験”をつくる大会でもあることだという点でした。

ビジョンには競技解説やアナウンスと連動した手話通訳映像が常時表示されており、多くの方が情報を受け取れる仕組みになっています。競技の進行や警告、選手交代など、通常は音声に頼ってしまう情報が、視覚的に明確に整理されていました。

筆者の写真。「デフリンピック」の手話で記念撮影をしている
記念撮影。手話は「デフリンピック」を表しています

また、会場スタッフの方々も手話やジェスチャーでの案内に慣れており、観客の目線に合わせて動いていることが印象的でした。

困っている人がいればすぐに近づき、指差し・筆談・身振り手振りなどを柔軟に使い分ける姿勢から、「全員が安心して観戦できる空間を作りたい」という思いが伝わってきます。単に“障害に配慮した大会”という言葉では片付かない、きめ細やかな工夫の積み重ねが、会場全体の落ち着いた雰囲気と安心感につながっていたように思います。

デフリンピックは、競技そのものの迫力はもちろん、「視覚でつながるコミュニケーションの美しさ」を体感できる大会でした。100周年という節目の大会を東京で迎えられたことも特別で、デフスポーツの魅力をより深く知る貴重な時間となりました。

今回の大会において、弊社も一部の情報伝達に関わる取り組みに協力する機会をいただいています。
実際に現場を訪れ、運営の方々が細部にまで目を配り、誰もが等しく情報を得られる環境を整えている姿を見て、改めて「伝えること」の大切さを実感しました。今後も、デフスポーツやアクセシビリティの理解がさらに広がり、多様なコミュニケーションが尊重される社会の実現に、微力ながら携わっていければと思います。