お酒にも導入されているユニバーサルデザイン:缶チューハイの「氷結」
2018年7月6日、ユニバーサルデザイン(以下UD)に関するセミナーがありました。前半は「ビジネス現場に見るUDの進化」、後半は「UDとしての点字・触図印刷」の2部構成です。
●視覚障害の当事者として
講師の安藤氏は、低視力の弱視です。自己紹介で「私の趣味は写真を撮ることなんです。何で見えないのに写真を撮るか分かりますか?」と質問を投げかけました。「なぜなら私より目がいいから」と言って会場を笑わせました。
また、iPadやiPhoneの便利なアクセシビリティ機能の紹介もありました。
●身近なUD
スライド画面にオレンジジュースが投影され「どこがUDでしょう?」と問題がありました。
答えは「ストロー」。ストローは日本が発祥らしく、もともとは手が不自由な人のために開発されたようですが、今では万人が使いますよね。
●企業戦略としてのUD
「企業にとってのUDは、CSR(社会的責任)としての位置付けに過ぎないのが現状です。でも今後は、企業戦略につながる可能性があるんです」そう言って映し出されたのは缶チューハイの「氷結」。
「お酒の缶に点字が付いているのは嬉しいのですが、ビールなのか?チューハイなのか?は分かりません。ところが氷結は、アルミダイヤカットという缶なので触ってすぐ分かるんです!」
このように企業がブランドイメージのために開発したパッケージが、触っただけで識別でき、滑りにくく持ちやすいUDのお酒となったわけです。
●障害当事者と一緒に作った防災マップ
後半は欧文印刷の山崎氏、坂本氏よりUD製品の紹介がありました。
行政の防災マップは、全盲の方向けの点字や触図、弱視のための大活字、高齢者でも見やすい白黒反転の色使いなど、様々な配慮がなされていました。
●もっともっとUDを身近に!
葛飾北斎の浮世絵を目の不自由な方でも触って楽しめる工夫があります。
また、ファミレスのメニューにスマホをかざすと、「グリーンサラダ、◯キロカロリー、◯円」など音声で読み上げる技術も開発されています。
前半後半で共に強調されていたのは「インクルージョン(包括)」。障害当事者を巻き込んでUDを推進することが大切です。弊社でも、障害当事者の声を聞きながら、より多くの人が使いやすい、分かりやすいUDを広げていく所存です。
●バリアフリー:
・各々の障害に応じた対応
・今あるバリアを改善する
・特定の人がターゲット
●ユニバーサルデザイン:
・より多くのニーズに合う対応
・製品化する前に設計
・健常者含めより多くの人がターゲット