UD道場 2022年5月10日

【UD道場その2】「左揃え」は弱視の方にもやさしい配慮

こんにちは、ブライトの南條です。
UD道場では「情報のユニバーサルデザインを通じ、安全安心な暮らしに貢献すること」をめざすブライトが、多くの方に正しく情報を届けるためのポイントを届けていきます。

第2回は“左揃え”について。弱視の方に寄り添うと、左揃えにすることの利点が見えてきます。

1.文章は「左揃え」が読みやすい

文章をリーフレットやwebサイトに掲載する上で、たまに文字を中央に揃えたデザインを見かけることがあります。

ただ、”人の視点は左から右に流れる”と言われており、文章の頭は左に揃えると読みやすいものになります。

桃太郎の文章を左揃え、中央揃えにしたもの

上記を見比べると一目瞭然ですが、文章の頭が揃っていないと視線の動きが大きくなり、行ごとに文頭を探す必要があるため読む側に負担がかかってしまいます。

文章だけでなく、タイトルや見出しなどもあわせて左揃えにすることも有効。よりストレスなく読み進めることができます。

2.弱視の方にとっても読みやすい理由

…と、ここまではなんとなく容易にイメージできるメリットかと思いますが、実は左揃えに統一することは、弱視(視力の弱い)の方にとっても有効です。

なぜなら、弱視の方は文章を読む際に「ルーペ」と呼ばれる高倍率のレンズを用いて顔全体を近づけて文章を読むことが多いから。

写真:ルーペで冊子を読む女性

文字を中央揃えにしてしまうと、晴眼者(視覚に障害のない方)以上に文章のスタート位置が把握しづらく、読みづらさを感じてしまうのです。

3.ページ番号を端に寄せる

冊子を制作する場合の弱視の方にも読みやすい冊子のポイントとしてもうひとつ。

弱視の方にお伺いしたところ、中央に小さく載せがちなページ番号(ノンブル)も文章と同様、端に寄せると数字を認識しやすい、といった意見をいただいたことがあります。

イラスト:ページ番号が両端に記載された本

 

ページ番号は大切な情報です。文字のサイズを確保し、掲載位置を配慮することで読みやすく、弱視の方が迷子になりにくいものになります。

弱視の方は全国で30万人近いとも言われています。弱視の方を知っていくことで、より多くの方々に正しい情報を届けることができるはずです。

 

【UD道場その1】ゴシック体と明朝体、どちらを使えばいい?

 

執筆者:南條 投稿者:南條 岳
株式会社ブライト 企画課課長 ユニバーサルデザインコーディネーター。
埼玉に生まれ、東京、大阪、福岡、京都、神奈川などで幼少期を過ごす。子ども写真スタジオでのカメラマンを経て2013年ブライトへ入社。外部でライター、イラストレーターとしても活動し、「わかりやすい編集」を得意とする。『高校生クイズ』が好き。
ここがUD

<まとめ>
・文章は「左寄せ」にすると読みやすい
・弱視の方にとっても「左寄せ」は有効
・ページ番号を端に寄せると認識しやすい