障害について知る 2024年8月16日

日本理化学工業を会社見学してきました!

7月31日(水)、神奈川県川崎市にある「日本理化学工業」を見学してきました。
ここでは、全従業員96名のうち知的障害者が69名が働いています(2024年8月16日現在)。
活き活きと働く職場には、一体どんな工夫があるのでしょうか?実際に足を運び、レポートします!!

▼日本理化学工業とは?

「チョーク」「キットパス」の製造を主とする会社です。「キットパス」とは、「水で消せる」画期的な絵具です(本レポート後半でご紹介)。

今回お邪魔した川崎工場のほか、北海道美唄市にも工場があり、製造ラインを知的障害のある社員が担っています。

写真、川崎工場の製造ライン。

川崎工場の製造ライン

 

写真、美唄工場の製造ラインの様子。

美唄工場の製造ライン

▼会社見学スタート!

来訪した参加者18名ほか、オンライン参加者を含めてスタート!冒頭は、日本理化学工業:金子氏による、看板商品等のご紹介。

写真、日本理化学工業金子氏によるご説明

日本理化学工業金子氏によるご説明

 

キットパスやアートチョーク等が含まれた、セット即売会も開催されていました。

写真、日本理化学工業によるキットパス販売セット。2,000円、5,000円の2種類がある

キットパス販売セットのメニュー

 

続いて、大山隆久社長から会社の歴史等をお話いただきました。

▼日本理化学工業の歴史

1937年2月13日、東京都大田区蒲田で創業。当時からチョークを製造していたのではなく、文具雑貨の卸問屋を営んでいた先代の大山要蔵氏が、米国からの輸入に頼っていた無害チョークの生産を開始。

豊富にあるホタテ貝を材料に利用することで、安心なチョークが日本でも作れるようになり、1953年、国産第1号となる炭酸カルシウム製の「ダストレスチョーク」を開発。現在、日本国内において4分の3のチョークを作っており、大きなシェアを誇っています。

写真、大山社長がチョークの製造ラインについて説明している。

大山社長に説明いただきながら現場見学

▼知的障害者との出会い、雇用へ

1959年、大きな転機が訪れました。養護学校の教師が、卒業を控えた15歳の女子生徒の就職を依頼しに日本理化学工業へ来訪されました。

最初は2週間だけの研修として2人の少女を受け入れましたが、一生懸命に働く2人の姿に心を打たれ、そのことがきっかけとなり、障害者の雇用を始めました。

「最初は失敗する場面が多かった」とのことですが、障害者の理解力に合わせる工夫を徹底。「工程に人を合わせる」のではなく、「人に工程を合わせる」数々の工程改革を行うことで、知的障害のある社員に、全ての製造ラインで、責任ある作業を任せられるようになったのです!

写真、日本理化学工業の社員が製造ラインでチョークを並べている。

機械を使ってチョークを整列させる作業

▼知的障害者が働きやすい工夫とは?

日本理化学工業では、障害のある社員が、今持っている能力で仕事ができるように作業方法の工夫・改善をおこない、環境作りに努めています。見学時に撮影した写真を交えながら、一例をご紹介します。

 

【工夫の例1】文字や目盛りが分からなくても、働くことができる工夫

社員の中には、文字や数字が得意ではない人も、働くことのできる工夫があります。その一つが「色で分ける」こと。赤いバケツに入っている材料を量るときは赤のおもり、青いバケツの材料は青のおもり、とルールを決めることで、決められた量を間違えずに量ることができます。

「できないこと」ではなく、「できること」に注目することで、作業効率、一人一人の達成感向上にもつながります。

写真、図らなくても分量が色で分かる方法の説明用ポスター。

分量が色で分かる方法の説明用ポスター

 

写真です、原料が入っている袋が、赤・青で色分けされている。

原料が入っている袋が、赤・青で色分けされている

 

【工夫の例2】検品の精度を高める工夫

こちらは検品工程の現場写真です。よく見ると、「×」「△」と描かれた箱が置いてありますね。

箱に「△」と書いてあるのは、判断が難しいチョークを取り置き、後で現場の責任者(健常者)が判断することができるようにするためです。

「△」があることによって、良品を無駄にしない工夫がなされています。

写真、検品作業中の社員がチョークを選別し、検品している。

チョーク検品中。奥のほうに「×」「△」の箱

▼チョーク需要の低下…危機をキットパスが救う

昨今、少子化社会の進行による影響や、ホワイトボードやパソコンの普及でチョークの使用量が減少。次なる新商品を開発すべく、日々試行錯誤を重ねました。

そうして生まれたのが、クレヨン・チョーク・マーカーの利点を組み合わせた≪キットパス≫。「キットパス」は、お米から取れる「ライスワックス」という成分を使用しているため、窓ガラスなどのツルツルとしたところにも発色よく描けて、水溶性なので水拭きで消せます。

写真、日本理化学工業社員でビニール傘にキットパスでお絵かき

日本理化学工業社員でビニール傘にキットパスでお絵かき

▼キットパスの広がり、「楽がき」文化の普及へ

2023年8月には日本理化学工業がモデルとなり、「キットパス」の誕生を題材とした、24時間テレビ46スペシャルドラマ「虹色のチョーク」が放映されました。

また、「らくがき観覧車(東京ドームシティ アトラクションズの観覧車「ビッグ・オー」とのコラボレーション)」や、「川崎フロンターレSDGsブース」では「kitpasおえかきボード」が設置され、老若男女問わず「楽がき」を楽しんでいます!

●24時間テレビでドラマになった「虹色のチョーク(キットパス)」の秘密https://bright3.jp/2023/11/17/24tv_kitpas/

●3世代でらくがきを観覧車で楽しむ♪            https://www.youtube.com/watch?v=sNXCOzflBvA

 

写真、キットパスカー

キットパスカー

 

▼会社見学を通じ、私が率直に感じたこと

それは、働いている一人一人が「プロ」として自身の役割を全うすべく、責任とプライドを持ち、仕事に真っ向から取り組む姿勢に感銘を受けました。見学者が工場内を歩き回っているにもかかわらず、とてつもない集中力で、真剣に取り組んでいることが強く印象に残りました。

写真、社員がチョークの箱詰め作業をしている。

チョークの箱詰め作業中

▼日本理化学工業が大切にしていること

日本理化学工業が知的障害者の雇用を始めた際、禅寺のお坊さんから次のようなことを教わりました。

人間の究極の幸せは、

1つ目は「愛されること」

2つ目は「ほめられること」

3つ目は「人の役に立つこと」

4つ目は「人に必要とされること」

福祉施設で大切にされ、面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つ会社こそが、人間を幸せにするのです。

写真、「働く幸せの像」。像には、「人間の4つの幸せ」が込められている。

「働く幸せの像」

▼最後に

川崎工場の敷地内には、北海道・美唄のコンテナショップがあります!日本理化学工業の美唄工場から、ご当地名物が直送、販売されています。

どれを選ぶか悩みぬいた結果、「日本一ビールに合う焼き鳥」「栄養豊富なハチミツ」をはじめ、ブライトメンバーで美味しくいただきました~(^O^)♪

●北海道アンテナショップがオープン!SDGsに貢献    https://bright3.jp/2021/10/02/bibai-contennashop/

 

写真:スタッフ3人と記念撮影

北海道美唄コンテナショップ

 

写真、「美唄コンテナショップ」で購入した手土産。ジンギスカン、焼き鳥、プリンなど。

美唄ショップで購入したお土産たち♪

 

弊社ブライトでも、お祝いのサプライズ等でキットパスを活用しています!ガラス張りを全面に「楽がき」でき、インパクト大!!終えた後も水拭きで「楽おち」です♪

写真、ブライト社内でもキットパスでお絵かき

ブライト社内でもキットパスでお絵かき♪

ここがUD

・「仕事に人を合わせる」のではなく、「人に仕事を合わせる」ことで、社員が活き活きと働いている!
・一人一人の個性、強みを大事にし、心強い戦力として捉え、「相手の理解力に合わせる」という経営理念を、現場でものすごく工夫を凝らして体現されながら、素晴らしい商品を生み出している!