日常のユニバーサルデザイン 2022年12月6日

16個のユニバーサルデザインマーク、いくつ知っていますか?

ユニバーサルデザインマークをご存知ですか?誰もがわかるような図記号で、特定の場所や意味を示すマークです。

(マーク1〜16の答えは記事の最後にあります)

1〜16のUDマーク

 

大勢の人が利用する駅や空港であたりを見回してみると、いろんなマークが目に入ります。学校やオフィスにある「非常口のマーク」や、トイレの「車いすのマーク」もその一つ。

しかし、「新しくできた」「見るきっかけがない」などの理由から、まだ目にしたことのないユニバーサルデザインマークもあるかもしれません。みなさんはこれから紹介するマークをいくつ知っていますか?

 

■共遊玩具マークの「うさぎマーク」「盲導犬マーク」

共遊玩具とは、目や耳が不自由な子どもも遊ぶことができるおもちゃのことです。

ピンクの四角い枠に可愛らしいうさぎが描かれたマーク。

これは、「うさぎマーク」といって耳の不自由な子どもも楽しめるおもちゃのパッケージに表示されています。

うさぎマーク

耳の不自由な子どもは市販されているほとんどのおもちゃで遊ぶことができますが、100%楽しめているわけではありません。そのため、聴力に頼らず遊べるような工夫をしています。

 

たとえば、音遊びがメインのおもちゃには、音と同時に光や振動、動き、文字、絵などの要素を取り入れ、視覚や手触りを通して楽しめるようにしています。そのほか、「音の強弱や高低を調整できる」「イヤホーンなどの端子を設ける」などの配慮もされています。

また、筆談等の目的で、携帯性に優れ、文字の書き消しが容易であり、くり返し使えるおもちゃは、コミュニケーションツールとして楽しめます。

盲導犬マーク

続いては、青くて四角い枠に、やさしくほほ笑むラブラドール・レトリバーが描かれたマーク。これは「盲導犬マーク」と言って、目の不自由な子どもも楽しめるおもちゃのパッケージに表示されています。

 

目の不自由な子どもも楽しめるおもちゃには、手触りや音などへの工夫がされています。たとえば、スイッチの「ON」側にポツっとした凸表示があったり、オセロのように色で識別するゲームは片面の手触りを変えたりと、さまざまなアイデアが散りばめられています。

 

写真:演奏風景

 

具体的な商品のひとつが、日本おもちゃ大賞2016共遊玩具部門の大賞を受賞した「ムニュムニュドレミファキャット」。8種類のネコの背中を押すと、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ドの音遊びが楽しめるもので、本体に貼ることのできる点字シールを希望者に無料で配布しているそうです(発売元:タカラトミーアーツ)。

 

■コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則

人が、地面と平行にした手のひらを目の上に当てているのが「見る」絵記号。

手のひらを耳の裏に当てているのが「聞く」絵記号。

絵記号:見る、聞く

これらは、文字や話し言葉によるコミュニケーションの困難な人が、自分の意思や要求を相手に的確に伝え、正しく理解してもらうことを支援するための絵記号です。

2005年4月20日、「コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T0103)」の規格として制定されました。

この規格では、描きやすく、伝えたい内容が理解されやすい絵記号を描くためのルール(絵記号を描く際の基本形状や作図原則)を示しています。

現在、約300種類の絵記号例があり、一部を公開、無償ダウンロードが可能。ぜひ、共用品推進機構のウェブサイトをチェックしてみてください。

これらの絵記号は言語に拠らないため、今後、世界各国で共通して使用できる可能性もあるコミュニケーション支援ツールです。

 

写真:コミュニケーション支援ボードを指さす様子

 

日本国内では「コミュニケーション支援ボード」として、交通機関のカウンターや案内所などで必要な絵記号を指さして使われています。

 

■新しい標準案内用図記号「カームダウン・クールダウン」

標準案内用図記号は、「飛行機のマーク」「車椅子のマーク」「非常口のマーク」など、みなさんが駅や空港でよく目にするものを指します。

2018年10月に公開された「カームダウン・クールダウン」の図記号は比較的新しいため、「まだ見たことがない」「意味を知らない」という人も多いのではないでしょうか。

カームダウン・クールダウン(室)は、発達障害・知的障害・精神疾患・パニック障害・認知症などを持つ方たちが「パニックになったとき」「パニックを予防するため静かな場所に行きたいとき」に気持ちを落ち着かせるスペースです。

 

図記号:カームダウン・クールダウン

 

気持ちを落ち着かせるだけならベンチでもいいのでは?と考える人もいるかもしれません。わざわざカームダウン・クールダウン(室)と名付け、仕切られたスペースを設けるのはなぜでしょう?

たとえば発達障害の人は感覚過敏(音や匂い、味覚、触覚などの刺激を過剰にキャッチし、ストレスを感じる)であることも多く、騒々しい場所や外気温や湿度に体調が左右されます。

パニック障害などの精神疾患を持つ人や、認知症、知的障害を持つ人たちも同様です。空港などの「非日常」な場所に行くと、慣れない移動や人の多さ、音、光、匂いから、耐えがたいストレスや不安を感じてしまう人も少なくありません。

そんなときは、静かな場所で周囲を気にすることなく、一人または同行者と二人で黙って15~20分ほど休むことで、気持ちが落ち着くと言われています。

 

成田空港第3ターミナルにあるカームダウン・クールダウンスペース

(写真:第3ターミナル/提供:成田国際空港株式会社)

 

成田国際空港は2018年1月、日本の公共交通機関で初めてカームダウン・クールダウンスペースを設置しました。

発達障害など見た目にわからない障害のある人たちがパニックになることを未然に防止することを目的に、「安心して空の旅を楽しんでほしい」という願いが込められた設備なのだそうです。

 

 

この記事に協力いただいた企業・団体:

●一般社団法人日本玩具協会
https://www.toys.or.jp/

●株式会社タカラトミーアーツ
https://www.takaratomy-arts.co.jp/

●公益財団法人共用品推進機構
https://www.kyoyohin.org/

●公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団
http://www.ecomo.or.jp/

●成田国際空港株式会社
https://www.narita-airport.jp/jp/

 


■マーク1〜16の答え

1.うさぎマーク 2.盲導犬マーク 3.聞く 4.見る 5.非常口 6.非常ボタン 7.滑面注意 8.捨てるな 9.航空機 / 空港 10.障害のある人が使える設備 11.カームダウン・クールダウン 12.オストメイト用設備 /オストメイト 13.鉄道 / 鉄道駅 14.静かに 15. 距離を保ってください 16.ホームドア:乗り出さない


 

ここがUD

カームダウン・クールダウンスペースを実際に見た人の中には「人混みや外気温、騒々しさがきっかけでパニックを起こす人がいる」「気分を落ち着かせるために、こういった対応が必要な人たちがいる」ことを初めて知る人もいるでしょう。

つまり、空港などの多くの人が行き交う場所にUDマークやスペースが設置されることは「目に見えない障害がある人について知ってもらうこと」にもつながるのです。

私たちがまず色んな場所に目を向け「知る」ことで、当事者やその家族を含めたすべてのひとが、外出や空の旅を楽しめる世の中に近づくのではないでしょうか。