SDGsの取り組み 2021年12月2日

SDGsの取り組み事例:手話の言語性って?

近年「SDGs(持続的な開発目標)」というワードを耳にする機会は増えたのではないでしょうか。とはいえ「どのような取り組みがSDGsにつながるの?」といった疑問を持っている方も多いはずです。

今回は、聴覚障害者の視覚言語である「手話」をテーマに、SDGsにつながる事例、ブライトの取り組みを紹介します。

 

1.手話の言語性を認める改正障害者基本法

 

改正障害者基本法とは、すべての人が同じように人権を有し、障がいの有無に関わらず生きやすい社会(共生社会)を目指すことを目的とした法律です。2011年7月に可決、8月5日に公布されました。

本改正を推進した障がい者制度改革推進会議は、「私たちのことを私たち抜きに決めないで」のスローガンのもと、多くの障害当事者・関係者が委員として参加しました。

 

写真:手話で「こんにちは」と話す女性

 

そして、今回ポイントとなるのは手話の言語性が認められ、「言語(手話を含む)」と規定されたこと。これまで手話は法律上、言語として認められていなかったのです。

 

SDGsアイコン4質の高い教育をみんなに

 

本改正により、障害があってもなくても平等に情報を得られる社会の実現に向けて一歩前進しました。これは、SDGsの目標4、目標10の貢献につながっています。

 

★手話クイズに挑戦!

次の★クイズ1〜6の手話はどんな言葉を表しているでしょう?

 

★クイズ1

すぼめた両手を上げながら、ぱっと開く

★クイズ2

右手を左手の甲から跳ね上げ、頭を下げる

手話イラスト:おめでとう 手話イラスト:ありがとう

 

★クイズ3

右こぶしを鼻から前に開き、頭を下げる

★クイズ4

両肘を張り、両こぶしを同時に2 回上下させる

手話イラスト:よろしくお願いします 手話イラスト:がんばります

 

★クイズ5

両手のひらを胸に向けて、交互に上下させる

★クイズ6

右こぶしで左腕を軽く2回たたく

手話イラスト:楽しい  手話イラスト:おつかれさま

 

みなさん、いくつ分かりましたか?

手話は、「表情」もポイントになります。喜怒哀楽を表すためには手話に加え、表情豊かに気持ちを伝えてみるとGOODです!

 

★クイズのこたえ

クイズ1 「おめでとう」

クイズ2 「ありがとう」

クイズ3 「よろしくお願いします」

クイズ4 「がんばります」

クイズ5 「楽しい」

クイズ6 「おつかれさま」

 

 

「手話を勉強したい。でもどうやって?」「手話を習得するのは難しそう」と感じている人もいるのではないでしょうか?筆者もそのひとりです。

地域の手話サークルや講習へ参加したり、養成学校に行ったり。これらは本格的に学びたい人向けの方法ですが、それはハードルが高い…と感じてしまう方は、書籍やテレビ、YouTube動画で学ぶこともできます。

自分に合った方法を見つけて、ちょっとした挨拶から、マイペースに挑戦してみるのもひとつです。

 

脱プラスチックの「指文字付き紙製クリアファイル」

紙製のクリアファイルをご存知ですか?

従来のプラスチック製ファイルとは異なり、紙製クリアファイルは紙資源としてのリサイクルが可能です。中の書類をファイルごとシュレッダーにかけることもできるので、分別の手間もかかりません。

 

撮影画像:紙製のクリアファイル

 

また、内容物が見える加工が施されていたり、社名やロゴの印刷・手書きが可能だったりと、環境に配慮された素材でありながら、プラスチック同様の機能性を持っています。

 

ブライトでは、SDGsの目標13、目標14、および脱プラスチックへの取り組みとして、「指文字付き紙製クリアファイル」を制作しました。

 

SDGsアイコン13気候変動に具体的な対策を SDGsアイコン14海の豊かさを守ろう

 

指文字とは、手の形で文字を表現することができる「視覚言語」です。「氏名」のように手話単語にない言葉は、指文字を使って一文字ずつ表します。

何かのきっかけがなければ、手話や指文字に触れる機会はなかなかありません。そこでブライトでは、使用頻度の高い紙製ファイルに指文字をデザイン。

 

撮影画像:紙製クリアファイルの透明度

 

普段目にすることのない指文字の存在を知ってもらえたり、興味を持ってもらえたりするきっかけとなってほしい、その思いから制作しています。

あなたのお名前は、どのような指文字で表しますか?ぜひチャレンジしてみてください!

 

3.バイオマスOPP袋

 

SDGsアイコン7エネルギーをみんなにそしてクリーンに SDGsアイコン12つくる責任 つかう責任

 

バイオマスとは「再生可能な動植物由来の有機性資源(化石資源を除く)」のこと。具体的には、木くずや食品廃棄物、動物のふん尿、稲わら、廃油などを指します。

 

イメージ画像:木のくず

 

石油や石炭、天然ガスなどは「いつかなくなる=化石資源」といわれており、再生不能です。それに対し、バイオマスは再生可能な資源のため、限りある化石資源を節約しつつ循環型社会の実現へとつなげます。

また、地球温暖化の6割は二酸化炭素の増加が原因だといわれていますが、化石資源の消費増加に伴い、二酸化炭素の濃度も急上昇。地球温暖化や環境問題の深刻化につながっています。

 

一方、バイオマスはカーボンニュートラル(二酸化炭素の排出量と吸収量を差し引きゼロにすること)な資源。化石資源の節約だけではなく、地球温暖化対策にもなるのです。

 

写真:バイオマスマーク

 

そこでブライトでは、指文字付き紙製クリアファイルの包装に、バイオマスOPP袋(植物由来の原料を配合したフィルムを使った袋)を使用。SDGsの目標7や目標12の貢献へつなげています。

 

品質や安全性の基準を満たしている環境商品の目印は「バイオマスマーク」。

詳しくは、一般社団法人日本有機資源協会のホームページをご参照ください。

 

画像:投稿者白石さんの顔写真 投稿者:白石果林
法政大学 現代福祉学部卒業。学校法人・一般企業にて8年間勤務したのち、フリーランスライターとして独立。福祉、働き方、事業承継などの分野で取材・執筆を行う。

 

ここがUD

「手話言語」と「音声言語」は、表現方法は違えど対等です。とはいえ、周囲に手話を使う人がいなければ、なかなか触れる機会がないでしょう。

手話をもっと身近に。その思いから手話アプリやゲームが開発され、少しずつ普及し始めてきている昨今。日本財団では、手話を音声に翻訳する技術開発を目指しているそうです。