国際標準化機構(ISO)推奨:日本で生まれたピクトグラム
ユニバーサルデザインと一口に言っても様々ありますが、ピクトグラム(案内用図記号)もそのひとつです。
今回取り上げたいのはこの図記号。
そう、トイレを表すピクトグラムです。この図記号、見るたびに「とてもよく練られた記号だな」と唸ってしまいます。
もし私が「トイレの図記号を作ってくれ」と言われたら、安直に便座の形のデザインを提案してしまうと思います。それは公共のスペースに展開するもとして見栄え的にもあまり…ですよね。
その点、「男女」を表すマークを並べただけで「男女で分かれる施設といえば(主に)トイレである」というこの発想の転換。国際標準化機構(ISO)推奨となり、事実上の世界標準とされるこの図案は、諸説あれど日本で生まれたと言われています。
きっかけは1964年東京オリンピック
今から56年前。1964年の東京オリンピックでは、世界中から訪れる人たちが混乱しないように情報伝達の手段として施設などのピクトグラムを用意する必要がありました。
その際に特に苦慮したのがトイレのマーク。
当時、日本のトイレは全て和式だったこともあり、このまま便器を図案にしても外国人には伝わらない。喧々諤々の結果、いまのトイレのピクトグラムにつながる図案が誕生したと言われています。
2020年東京オリンピック・パラリンピックではさらなる進化!
今年開催される東京2020では「東京1964大会で生まれたスポーツピクトグラムが進化」と銘打ち、動くピクトグラムが発表され話題になりました。動きを加えたそれらのピクトは、より情報が伝わるようになり、スポーツとしての躍動感や魅力が促進されたように思います。
東京2020の開催が情報伝達にも様々な進化をもたらし、良い形でレガシーとなればよいですね。
★ブライトのピクトグラム制作実績:成田国際空港保安検査場コミュニケーション支援ボード
投稿者:南條 岳 株式会社ブライト 企画課課長 ユニバーサルデザインコーディネーター。 埼玉に生まれ、東京、大阪、福岡、京都、神奈川などで幼少期を過ごす。子ども写真スタジオでのカメラマンを経て2013年ブライトへ入社。外部でライター、イラストレーターとしても活動し、「わかりやすい編集」を得意とする。『高校生クイズ』が好き。 |