標準化と品質管理全国大会2014伝えたい情報、伝えたい人達に、伝わる方法で!」
2014年10月14日〜15日、都市センターホテルにて「標準化と品質管理全国大会2014」が開催されました。ブライト代表の小川は、安全・安心・環境部門で「伝えたい情報、伝えたい人達に、伝わる方法で!」と題した講演を行いました。
第1部:情報を伝える人と受け取る人のギャップ
NPO法人東京高円寺阿波おどり振興協会が配布したパンフレットの事例を発表しました。伝える側のイベント主催者は、「パンフレットは記念に持ち帰ってほしい」とのA4サイズのパンフレットを配布しました。
ところが受け取る側の観客は「お尻に敷くのにちょうどいい」といって捨てて帰るので、ゴミの山になってしまいました。
そこで、観客目線でパンフレットを改訂しました。持ち帰りやすいサイズに変更したほか、阿波おどりを100倍楽しめる内容に改訂した結果、ゴミを捨てる人が激減したという好例です。
第2部:情報が分かりやすく伝わる3つの法則
◇法則1:目的・課題を明確にする
情報を伝えるときに、すぐに原稿を考えたり、伝える手段を考えたりするのではなく、目的や課題を明確にすることが重要です。
◇法則2:受け取る人たちを理解する
老眼・白内障の人は約5,000万人、外国人入国者は約1,100万人、色弱の方は300万人以上、視覚障害者は約30万人、聴覚障害者は約30万人など受け取る人たちは様々です。それぞれの特性や状況や理解し、情報を伝えることが大切です。
◇法則3:方法を選べるようにする
情報を伝える手段は、受け取る人たちが選べるように、WEBやスマホや音声など複数用意することも重要です。ただし限られたコスト・納期では、難しい現実もあります。
そこで、ひとつの情報ツールで複数用意できる事例“多機能コード”を紹介しました。多機能コードは、無料アプリをダウンロードして、スマホで読み取ります。
このコードが“多機能”なのは、日本語の音声以外に、英語、中国語、韓国語などの他言語や、手話動画も見られるからです。「耳の不自由な人には、文字が書いてあるパンフレットだけで十分では?」とよく質問されます。しかし、生まれながら耳の不自由な人は、“第一言語”が手話という人が多くいます。
日本語の読み書きが苦手な人のために、手話、音声、字幕、漢字の振り仮名、多言語など伝える方法は、複数用意することが必要ですね。
※ブライト会社案内の手話版はYouTubeでも閲覧できます。
http://youtu.be/ZveoZ75beR8
第3部:【伝わる印刷事例】高齢者向け情報冊子
一般社団法人生命保険協会では、高齢者との相互理解を深めながら、生命保険に関する冊子を制作しました。この冊子は、60〜80代の高齢者からの意見を反映して作られています。
例えば、保険商品を説明するには“仕組図”という手法が一般的ですが、高齢者からは「保険職員の説明なしで、一人で冊子を読んだとき、仕組み図は理解できない」との意見が大半でした。
そこで生命保険協会では、仕組図を入れずに文書で分かりやすくするなど、初の試みを行ったのです。
会場からの活発な意見交換
▼質問1:「印刷業界では“カラーユニバーサルデザイン”が推進されています。本日の講演内容との関連性を教えてください」
▼回答1:「まずは、色の見え方は人によって様々だということを理解してください。色をむやみに使うのではなく、白黒コピーでも識別できる配慮が大切ですね」
▼質問2:「保険業界では、高齢者向けの商品が増えています。高齢者に説明・販売するときに注意すべき点などを教えてください」
▼回答2:「高齢者は聞きなれない専門用語を聞くと、拒否反応を示します。日常で使う言葉に置き換えて説明してください。また、説明する順番も伝えたい順番ではなく、受け取る人が聞きたい順番で、相手の立場で説明することが大切だと思います」
ブライトでは、これからも情報を伝える人、受け取る人と相互理解しながら安全・安心な社会づくりに貢献していく所存です。
会場には、情報を伝える側と受け取る側のどちらが多いのか?はじめは「挙手」してもらいました。しかし参加した視覚障害の方には、人数が伝わりません。そこで、同じ質問で「拍手」をしてもらいました。拍手の音の大きさで情報を伝える側の人が多いことが分かりました。