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ユニバーサルデザイン

2025.11.05 水

それゆけUD探訪記!〜台湾編〜

ニーハオ、リーホーと口にすると、拙い発音でも笑顔が返ってくる。それは辞書には載っていない、やわらかな翻訳のようだった。

まだまだ30度を超え残暑が続く9月下旬、昨日までの忙しさをポッケにしまって、台湾に足を運んだ。早速、桃園空港からバスで台北に到着すると目に飛び込んでくるのはバイクの波と無規則に並ぶ看板、路上に並ぶ屋台。

台湾の街並み。両脇には歴史を感じる5階建てほどのビル。道路はレンガでできており、右手にはセブンイレブンも見える
台湾の街並み

…と、ついついイメージ通りのそちらに気を取られてしまうけれど、仕事がらか上を向けば分かりやすい交通標識、下を向けば歩道と自転車道の区画を示すピクトグラムなど、言葉が分からなくても十分伝わるデザインの工夫が私の心をくすぐった。

少し真面目なお話。

~台湾におけるユニバーサルデザインの現状~

台湾は、障害者や高齢者だけでなく、すべての人に使いやすい環境を整える「ユニバーサルデザイン(無障礙設計)」に積極的に取り組んでいる国・地域の一つである。例えば…

 

1.公共交通機関

MRT(地下鉄)は、全駅にエレベーターやスロープが設置され、車いす利用者向けのスペースも整備されている。一方、地方の鉄道駅などでは段差や未整備の部分も残っている。

2.公共施設・街路環境

政府は「無障礙環境設施設計基準」に基づき、大型の建築物や公共施設にバリアフリー設計を義務化している。

3.観光分野

観光局は「Accessible Travel」を推進し、車いす対応ホテルや観光地の情報を公開している。

4.情報アクセシビリティ

政府系ウェブサイトはWebアクセシビリティ基準を採用しており、点字や音声読み上げにも対応している。

5.課題と展望

制度的には進んでおり都市部は整備が整っているが、地方では未整備の部分が目立つ。社会的認識は高まりつつあり、今後は「すべての人にやさしい環境づくり」をさらに実現していくことが求められている。

といった具合である。

 

さて話は戻り、今回の旅では“台湾のユニバーサルデザインを見つける”ことが1つのテーマだったため「面白いなぁ」「分かりやすい!」と唸ったいくつかの事例をおすそ分けします。

公衆電話が2台並んでおり、片方は子供の背丈ほどの高さに設置されている。電話の上に車椅子のマーク。
桃園空港で見つけた車椅子でも使いやすい公衆電話
エレベーターの外観写真。大きくピクトグラムが描かれ、左には大きくエレベーターのピクト、右には電車のピクトが表示されているため行き先などが明確。
行先や用途が明確で分かりやすいエレベーター
タテ型の歩行者信号。下の表示は歩行者が歩く青色のピクト、上の表示は「46」と数字が書かれており、歩行者が渡れる時間が残り46秒であることが明確。
止まる/進むの表示や残り秒数が示され分かりやすい信号
自転車道に描かれた自転車のピクトグラム。
歩道と自転車道の区画を示すピクトグラム
台湾の寺院。
寺院の金色に輝く車椅子ピクト。さすが台湾!

まだまだ発見は沢山ありましたが今日はここまで!

初めての場所で迷子になりがちな私でも、こんな景色に触れながらあらためて思いました。

ユニバーサルデザインは、単なる便利さや配慮を超えて、「いらっしゃい、こっちだよ」とみんなを受け入れてくれる、誰にとっても生きやすい社会を作る上で本当に欠かせない大切なことなのだ、と。

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